子育てはお金がかかるから少しでも働きたいのだけど・・・
御主人の配偶者控除範囲内なら、どの位の金額までなら大丈夫か知っておくことも大切です。
子育ては色々とお金がかかりますよね
子どもがある程度成長すれば時間にも余裕ができるので、収入を得るために働く事を考える保護者もいるかと思います。
収入を得るには企業もしくは個人商店等で働く事になりますが、御主人の配偶者控除範囲内で働いた場合、どの位の金額まで収入を得ても大丈夫なのか、なるべく簡単に分かり安く説明します。
正社員とパート・アルバイトの違い
まず正社員とパート(アルバイト)の違いについて簡単に説明します。
奥様が働きに出る場合、正社員かパート(アルバイト)かに区別されます。
正社員の場合はフルタイム(基本的に8時間/日、週5日)での労働となり、残業がある場合もあります。
また急に休みを取る事もままならぬ場合も見受けられます。
これに対してパートは勤務時間が短いのが特徴です。
朝から働いて、夕方までには帰れる仕事もあり、生活時間にゆとりを持つことができます。
勤務日数についても、週に3日以上働けばOKといった仕事もあるので、都合に合わせて働くことができるでしょう。
また、パートの場合は時間のゆうずうが利きやすい、という特徴もあります。たとえば、子供が病気になった時などに休みをもらえたり、早退したりといったことが行いやすいです。これらを考慮すると、勤務時間・勤務日数という点で、より働きやすいのはパートの仕事だといえます。
しかしながら、収入に関しては正社員の方が多いです。それは労働時間が長いので当然の結果と言えます。
今回は「御主人の配偶者控除範囲内で働く」と言う事をテーマにしていますが、実は御主人の扶養に入れるのはパートの方だけではなく、会社員の方も入る事が出来る事を知っておいて下さい。
年末調整で受けることのできる控除とは
【控除】とは「ある金額から一定の金額を差し引く」ことです。
給与所得者は1~12月の総所得から様々な控除を行い、納税額を低く抑える事が出来ます。
この控除方法は全部で14種類ありますが、一番有名で近い存在は配偶者控除と扶養控除だと思います。
では税務上においてでは配偶者と扶養家族ではどう違うのでしょうか?
配偶者とは
婚姻関係にある相手のことを指し、夫・妻のことを配偶者と呼びます。
夫から見れば妻が配偶者、妻から見れば夫が配偶者です。
婚姻届を提出しており法律上の婚姻関係にあることが前提で、事実婚の場合は該当しません。
事実婚とは婚姻届を提出していない状態、いわゆる入籍していない状態のことです。
この場合、相手のことを配偶者ではなく、内縁の夫・内縁の妻と呼びます。
扶養家族
扶養家族として税法上で定められているのは、生計を一にしているとされる配偶者と親族、県や町から託されている里子や高齢者の方などです。
生計を一にしているという状況は、同居以外にも、修学や療養といった都合によって別居している場合も含まれます。また、親族は6親等内の血族と3親等内の姻族が対象です。かなり広い範囲の親族が対象となることがうかがえます。
配偶者の関係で大切なのは、法律上で婚姻関係が認められている場合に限るということ。たとえ、同一生計で共に暮らしている内縁関係の夫婦は対象外です。
各種税金と手取り収入の関係
毎月の給料から所得税、市県民税、社会保険料を差し引かれ、嘆いている方もおられるかと思いますが、この各税金・保険料の計算は前年の収入から決まります。
と言う事はつまり前年の収入を少なくすれば良いので、なるべく控除額が多いほど翌年の税金等が少なくなり、手取りの金額も増えると言う事です。
配偶者控除と配偶者特別控除
「配偶者控除」及び「配偶者特別控除」とは、夫や妻を扶養している場合に適用することができる所得控除にあたり、所得税や住民税を軽減させることができる制度です。
平成30年度より配偶者控除・配偶者特別控除が改正されました。
配偶者控除は103万円以下の所得、配偶者特別控除は150万を超し201万以下となります。
ただし夫が年収1,120万円以下(合計所得金額900万円以下)の場合です。
平成30年度以降の配偶者控除と配偶者特別控除額一覧表
普通であれば年収1,120万円以下でありますからこれを適用すると、配偶者の給与等の収入金額が103万円以下だと配偶者控除が適用し38万円の控除。103万円を超し150万円までは配偶者特別控除38万円、150万円を超し201.6万円以下は配偶者特別控除ですが控除額は徐々に減って行きます。
配偶者を外れると
配偶者が201.6万円を超す収入を得る場合、世帯主から配偶者を外れる事となり、、世帯主自身の所得税・住民税も上がってしまいますので、ますます税金に苦しめられる事になります。
では、一体いくらまでなら働くのが得なのかをご説明します。
税金と社会保険の壁
一般的に扶養というと、所得税などの税金上の扶養と、社会保険上の扶養の2つがあり、それぞれ2つづつの壁が存在します。
①税金上の壁 :103万円と150万円
②社会保険上の壁:106万円と130万円
なお年収1120万円以下の方を対象に、以下に金額と内容を示します。
それぞれの年収と発生する税金
①年収100万円以下
年収100万円以下だったら、世帯主の扶養内ですし住民税・所得税もかかりません。
②年収100万円を超し103万円未満
年収100万円を超し103万円未満だと、世帯主の扶養内ですが住民税がかかります。ですが所得税はかかりません。
③年収103万円を超し106万円未満
年収103万円を超し106万円未満だと、世帯主の扶養内ですが住民税・所得税両方かかります。
④年収106万円を超し130万円未満
年収106万円を超し130万円未満は、一部の会社で社会保険料が発生します。
一定規模以上の(*1)会社でアルバイトやパートをすると、年収106万円以上で社会保険に加入することになります。お給料の中から、厚生年金、健康保険を負担することになります。
*1の要件
・正社員が501人以上
・収入が月88,000円以上
・雇用期間が1年以上
・所定労働時間が週20時間以上
・学生ではない
(*1)の条件に当てはまらない方は世帯主が社会保険料を払っているので払う必要はありません。
⑤年収130万円を超し150万円未満
年収130万円以上になった時点で全ての方が社会保険に加入することになりますが税法上は扶養のままなので、配偶者控除の対象になっています。
パート収入の所得税・住民税と手取り金額
では実際にパート収入の金額と、それにかかる税金と手取り金額を計算してみましょう。
ここではあくまでも配偶者特別控除38万が受けられる金額として年収150万以下を取り上げてみました。またこの計算は東京都を参考に、全ての条件を満たした場合の仮定計算ですので、皆さんのお住いの地区とは多少子異なるかもしれませんのでご了承下さい。
なお、計算過程はとても複雑なので省略し、結果のみ一覧表にて示します。
年間収入 | 住民税 | 所得税 | 社会保険料 | 手取り額 |
100万円 | 0 | 0 | 0 | 100万円 |
103万円 | 1万円 | 0 | 0 | 102万円 |
130万円 | 1万8,000円 | 4,000円 | 18万円 | 109万8,000円 |
150万円 | 3万5,000円 | 1万2,000円 | 21万6,000円 | 123万7,000円 |
計算結果から考えられる事
計算の結果より手取り金額には余り差が無いように思えますが、年間収入を見れば上位と下位では50万の差が有ります。例えば時給900円とすれば
\900×8時間×20日×12ヶ月=\1,72,800-
ですので、150万以上稼ぐのはかなり無理があります。これならば正社員になった方がよいのかな、とも考えられますが現実的には子育てと言う問題がある中での労働となりますので、余り無理する事無く考えられた方が良いかと思います。
税金と確定申告
2つ以上の会社でバイト、パートを掛け持ちし、合計額が20万円を超している場合、確定申告が必要となりますが、年末調整が受けられるのは1社だけです。
そのため、それ以外の勤務先については自分で確定申告を行います。ただ、1社で年末調整をまとめてくれる場合、確定申告は必要ありません。まとめる場合は勤務時間や給与がより多い会社に、他の会社の源泉徴収票を提出するのが一般的です。まとめてもらえるかどうかは、勤務先に確認しましょう。
パート主婦の年収と税金、まとめ
今回のテーマは子どもがいる・いないは勿論の事、性別・年齢も余り関係ない事ですから、働く事と税金の仕組みが分かって頂けたらと思います。
それからこの記事は税金対策では無いので、扶養家族(子どもや同居人)やその他の控除までは記載しませんが、これから少しでも働きに行こうかな、と考えている方がおられるなら、労働時間と収入、税金、手取り金額まで考えた方が良いかと思います。
また年収106万円もしくは130万円を超すと、社会保険料が発生しますので厚生年金を支払う事で手取りはかなり減額しますが、将来年金をもらう時点で払った分だけ人より多く貰えるので損はしないと思います。
ただし2019年7月現在、年金支給は基本65歳からとなっていますが、近い将来支給年齢は70歳になると思われます。
65歳でも同じですが、それまで生きてないと厚生年金は掛け捨てとなりますので、皆様子どものために是非長生きして下さいね。
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