妊娠・出産で健康保険が適用されるケース

妊娠・出産時の手続きと子ども医療
 
妊娠・出産で健康保険が適用されるケース2018年10月現在最新情報をお届けします。
 
妊娠・出産は病気ではありませんので、基本的には社会健康保険・国民健康保険を使うことができません。
しかし、妊娠中の体調不良や、出産時の問題、あるいは生まれた後の子どもの病気などがおきてしまった等のトラブルが生じ、医療処置が必要になった場合には健康保険が適用されます。

どんな場合に保険がきくのかきかないのか、前もって知っておくことは非常に大切です。

妊娠・出産に関わる手続き

社会健康保険は会社員の方、国民健康保険は自営業の方が対象です。

各健康保険を利用するには妊娠届出書や出生届をきちんと提出し、生まれた赤ちゃんの健康保険の申請手続きをしっかりしておくことがまずは必要です。

さらに、お住いの自治体が乳幼児医療費助成制度や、育成医療助成制度といった子どもの治療費をサポートしてくれる制度を設けている場合もありますので、そうした制度を活用することができれば治療費の自己負担分についても援助を受けることができます。

※乳幼児医療費助成制度や、育成医療助成制度はお住いの市役所・役場・保健所で確認して下さい。

多少手続きが遅れても大丈夫なこともありますが、助成を受けることができなくなったり、手続きが行われている間に全額自己負担しなければならなくなったりしかねませんので、手続きは忘れず早めにすることが非常に大事です。

妊娠・出産で健康保険が適用されるケース

妊娠中 

1)つわり(重症妊娠悪阻 ・じゅうしょうにんしんおそ)
2)切迫流産/流産
3)子宮頸管無力症( しきゅうけいかんむりょくしょう)
4)妊娠高血圧症候群
5)切迫早産/早産
6)前期破水
7)さかごや前置胎盤などの超音波検査
8)児頭骨盤不均衡 (じとうこつばんふきんこう)かどうか調べるX線撮影

9)その他の疾患

上記のケースでは、治療費、投薬料、通常の入院費などが適用の対象になります。
通常の健診では健康保険扱いにならない超音波検査も、さかごや前置胎盤などの検査
のときは適用となります。

出産・入院中

1)微弱陣痛などのため陣痛促進薬を使用
2)止血のための点滴
3)吸引分娩(注1)
4)鉗子分娩(注1)
5)帝王切開分娩(注2)
6)医学的対応の場合の無痛分娩の麻酔(注3)
7)赤ちゃんが新生児集中治療室に入る場合(低出生体重児や、なんらかの身体的トラブルによる)
8)死産(注4)

(注1)妊娠・出産の処置は原則として自由診療になるため、産院によっては健康保険の 対象にならないケースもあります。
(注2)帝王切開分娩の場合、普通分娩より医療費がかかりますが、医学的必要があれば原則的に健康保険の適用が認められます。
(注3)医学的対応の場合の無痛分娩とは、心臓病などの持病が認められた人で、普通分娩が難しいと診断されるケースです。
(注4)不幸にも死産となった場合は、その過程や死産と判断される時期などにより、健康保険の適用対象になるかどうかが判断されます。

こんな場合に保険適用できる?

妊娠中に別の病気で入院した場合

妊娠中に別の疾患で治療を受けたり、入院したときは病気の扱いとなり、その疾患に対する治療費、投薬料、通常の入院費などには健康保険が適用されます。

また、その疾患が妊娠・出産に影響を及ぼしたり、及ぼすおそれのある場合には、その診察や検査にかかった費用に対しても健康保険が適用されます。

赤ちゃんの病気には?

赤ちゃんの病気には多くの場合適用されます。

赤ちゃんの医療費に対しても多くの場合、健康保険が適用されます。
また、自治体の乳幼児医療費助成制度なども使えるため、赤ちゃんが生まれたらすぐに健康保険加入や医療費助成の手続きをして下さい。

海外渡航中に急遽帝王切開などで出産となった場合

 

国内の医療機関を利用して健康保険の対象となるものについては、渡航先で治療を受けたようなケースでも健康保険の対象となります。

しかしながら、治療費の支払いについては、まず現地で治療を受けた際に全額自分で立て替え払いし、日本に帰ってきてから申請を行って、保険の適用となる部分の払い戻しを受ける。という流れになります。また、払い戻しとなるのは国内の基準で計算された額となります。
国内で支払うよりも額が増えてしまう場合もあるので注意が必要です。

健康保険の適用を受けて払い戻しを受けるためには、そのための申請書を提出する必要があるほか、渡航先でかかった医師が作成した証明書とその翻訳文を提出する必要があります。
妊娠中に海外渡航の予定がある場合には、どういったものが必要になる可能性があるのかについて、念のために入っている健康保険の窓口に連絡して渡航前に確認するようにしましょう。

入院費が支払えない場合

経済的に苦しくて分娩のための入院費が工面できないような場合や、切迫早産などによって急に入院することになったような場合などには、加入している健康保険から出産に必要な資金を借りることができる制度が用意されています。

この制度は「出産費貸付制度」あるいは「出産費融資制度」といわれる制度で、出産育児一時金の範囲内(おおよそ8割程度となります)まで無利子で貸し付けを受けることができます。貸し付けを受けた資金の返済については、本来受け取れるはずであった出産育児一時金によって精算が行われることになります。

利用できるのは、国民健康保険か社会健康保険の被保険者になっている人かその扶養者で、出産育児一時金の支給を受ける予定があることが条件です。
そして、出産予定日まで1ヶ月以内であること、そして妊娠85日以上が経過していて医療機関に一時的な支払いを要する場合という条件があります。

申請窓口は出産育児一時金を受け取る予定であった健康保険の担当窓口になりますが、申請手続きはなかなか大変で、母子手帳や出産費用についての請求書など書類もいくつか用意せねばなりません。
また、この制度を利用した場合には、出産育児一時金の受け取りは医療機関に関係なく産後申請方式となってしまいます。

なお、切迫早産などによって急に入院することになったような場合などには高額療養費についても適用対象となりますので、医療機関や健康保険の窓口と相談した上で「限度額適用認定証」を作ってもらうなど対応をしてもらう必要があります。

出産後すぐに赤ちゃんが重い病気にかかった場合

 

病気や障害といった理由により、赤ちゃんの体に問題が発生し、何も対処しなかったならば将来的に何らかの障害が残ってしまいかねないというような場合、手術などを行うことによってそうした障害を軽くしたり取り除いたりできるというケースでは、医療費を援助してもらえる制度があります。

この制度は「育成医療助成制度」という制度で、健康保険が適用される医療費について、その自己負担部分(就学前の児童であるため医療費の2割相当分)を自治体が支援してくれる仕組みです。支援の金額は両親の所得などに従って決まる仕組みになっているほか、自治体によって制度の細部が異なっているため、詳細については現在居住している自治体の窓口に確認をして下さい。

今後の妊娠・出産で健康保険が適用されるケース情報について

ここで記載している「妊娠・出産で健康保険が適用されるケース」について、今後新しい情報が入り次第、皆様にお伝えしたいと思います。

コメント